ラオ博士の7つの顔

年末の大掃除中に部屋から見ていない映画のDVDが、大量に

発掘されました。その中の一つが、これです。

今から5、6年前でしょうか。カルト映画を専門販売していたお店で

何とはなしに購入したものの、ちょうどその時分映画熱が冷めて

きたので放置していたのでした。裏面を見ると、どうやら1963年公開

のアメリカ映画で「タイムマシン」の監督、ジョージ・パルが製作しており

日本未公開。SFファンタジーという程、SF要素はあまり感じられず

童話的なお伽話といったやさしい内容でおもしろかったです。ラオ博士

(作中の発音はロオ)やその周囲では水のない川で魚が釣れたり、

観客からは呆れられるけど種も仕掛けもない魔法を使う魔術師や、

牧羊神パーンが隠れた本心に気づかない女教師に対して行う、妙に

エロティックな求愛ダンスシーン(少し長い)、小さなナマズがたくさん

首の生えた巨大な龍に変化したり、不思議な出来事が最初から

最後まで続きます。あまり考えず気楽に楽しんだ方が良い娯楽映画

といえます。ところでラオ博士は7つの顔を持っているといっても、

パッケージでは6つの顔しかないのですが(いないのは牧羊神

パーン?)何故なのでしょうか。それに真ん中の人物は何の変装

だったっけ?とぼんやり考えていたら、大掃除が途中だったことを

思い出しました。

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三人

「フリークス」で知られるトッド・ブラウニング監督と名優ロン・チャニーが

組んだ無声映画です。

見世物として日銭を稼いでいた腹話術師、小人、怪力男の三人と女スリが

変装してペットショップを開き、裕福な顧客の目星をつけて資産を盗み、

一攫千金を企むといった、クライム・サスペンスです。

各登場人物それぞれに性格がはっきりしており、例えば主人公である腹話術師

エコー(ロン・チャニー)は嫉妬深く神経質な小悪党で、他の仲間とたびたび

口論になるといった具合で、サスペンスものでありながらコメディ映画を観て

いる様でした。(ちなみにエコーは終始商売道具の人形は他人に触られたく

ないといった態度が微笑ましかった)

私は小人の邪悪さが特に異様で際立っていると思いました。

女スリのロージー扮するメイ・ブッシュはとても綺麗で、まるで銅版画の

メゾチント作品を見ているような、どこか儚げな印象を受けました。

シナリオも良かったし特殊メイクや着ぐるみなども出てかなり楽しめました。

後にトーキーでリメイク作が出たのも頷けます。

「人生にはほんの少しの笑いと涙がある」

冒頭と最後、朗らかに語るエコーのセリフが胸に響きます。

カラナグ

しばらく展示の制作に追われて何も観てなかったので、

久しぶりに映画を観ました。

狩人に憧れる象使いの少年が、本国から象狩りの命をうけた英国人に付いて

密林に消えた野生の象達を探索するという、原作有りの冒険映画でした。

作中殆ど密林の中で象以外にも猿や虎なども出てきて、結構自然体の

ままで映しだされている様に見受けられました。

しかしやはり象の描写が一番多く、カラナグや他の象達が荷物運びや水浴びの

時など器用に動く様は可愛らしくも、後半での咆哮し暴れたりダンス(?)

する姿は恐ろしい怪獣そのもので、多面的に見れて興味深かったです。

ただ、主人公のトーマイが象の群れから「カラナグ!」と呼んでいても、私には

どれがカラナグなのかよくわかりませんでした。

モノクロだったからでしょうか。体が大きいのはわかりますけど・・・。

カラナグがトーマイを鼻と牙と足で持ち上げて、自分の頭に乗り降りさせる

仕草が繊細で優しさの様なものも感じられて、それが特に印象的でした。

貧しき人々

今日、大阪十三にある第七藝術劇場に行って来ました。同会場では、現在

第8回大阪アジアン映画祭というイベントが3月12日から17日まで開催中

で、その中で気になった作品を観ました。

「越境」がテーマというインディペンデント作品で、低予算で制作された

台湾・ミャンマー合作ものだそうです。ドストエフスキーは関係ないと思わ

れます。(作中トルストイの名が出てましたが)

実はちょうど自分が描いている作品のタイトルに、「越境」という単語を

入れていたので、この映画祭のDMでテーマを見た時に何か運命的な

ものを感じたので行って来たのでした。

低予算といっても、いろいろ詰め込んだ意欲作といった内容で、中々見ご

たえのある作品でした。全編通して荒いカメラワークが異国の雑多な

雰囲気、喧騒、そして倦怠をスクリーンからこれでもかと放出している様で、

かなり生々しい生活感が映されていました。(特に、周囲の雑音!)

シナリオ自体はシリアスだけど、所々ユーモアな演出もあって、それが良い

アクセントになっていました。

上映終了後に俳優兼プロデューサーの方が舞台挨拶に来られて来場者の

質問など答えていました。とても贅沢な状況にも関わらず、私は挙手する

勇気が持てずそのまま帰路に着きました。的外れな質問せずに済んだ分、

良かったのかもしれませんが。ちょっと残念。

Cinématographe

1895年、ルイとオーギュストのリュミエール兄弟は、カメラと映写機を

合わせた機械を発明したそれを[シネマトグラフ]と名づけ、1900年の

パリ万博にて動く写真、今日の映画の原型を公開しました。

大阪にあるミニシアター、planet+1で上映された映画を観ました。

今日は映画が誕生した記念すべき日だそうで、ここでは毎年12月28日に

このプログラムを流すのが恒例になっています。

数分程度の短編が続けざま計20分程、記録映像の様な淡々としたものが

主でしたが、中にははっきり演出と分かるものもあり映画はここから

はじまったのだと改めて痛感しました。それが終わると、次は同時期に

エジソンが発明したキネトスコープによる短編作品、最後にエジソンの部下

で、後に米映画の始祖と呼ばれることになるデビッド・W・グリフィスの

「鷲の巣からの脱出」、「ドリーの冒険」も上映されました。個人的に

「鷲の巣からの脱出」の鷲が作り物で、特撮の原点をもかいま見た様で

興味深かったです。作品の合間合間に館長が時代背景等の説明をして

くれて、映像の歴史も学べた上映会でした。

リュミエール作品を観た帰り途、ふと自分もパリに行ったことを想いました。

・・・。

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あのバスティーユに辿り着いた月との乾杯も、最早過去の事でしかなく

シネマトグラフ同様、写真の中でしか再現することはできないので

ありました。

・・・。

笑國万歳

12月25日、大阪にあるミニシアター、planet+1にて映画を観ました。

有名な「オズの魔法使い」を喜劇役者、ラリー・シモンが監督出演で破天荒

なストーリーに作り変えた作品で、無声映画なので弁士と演奏付きという

豪華上映会となっていました。

話については伏せておきますが、私はとても楽しめたけれどジュディ・ガーランド

主演の有名なオズが好きだともしかしたら戸惑う内容だったかもしれません。

オズの魔法使いとしては初の映画化で日本でも公開されたことがあったそうです。

弁士と演奏の方々も熱演で、(少し演奏の音が大きい時があってびっくりしました

が)また観たくなる様な、とても良い上映会でした。